高尿酸血症治療薬、フェブリク[フェブキソスタット]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
フェブリク[フェブキソスタット]作用機序・特徴
フェブリク[フェブキソスタット]は痛風[高尿酸血症]の治療に使用される治療薬です。
痛風・高尿酸血症とは?
痛風とは、高尿酸血症の発作症状であり、字のごとく尿酸値が高くなることで生じる痛みの疾患です。
尿酸の原料となるのはプリン体です。
20%が食事から、残り80%が体内で合成されます。
そのため、食事からのプリン体摂取量を減らし、水分を多く摂ることで尿として身体の外へ出すことが重要になるのです。
プリン体の多い食品とプリン体量の目安を次にまとめています。
プリン体の摂取量は1日400mgまでに抑えましょう!
食品名 | 1回量 | プリン体[mg] |
---|---|---|
鶏レバー | 80g | 250 |
豚レバー | 80g | 228 |
サンマ干物 | 90g(1尾130g) | 188 |
スルメイカ | 100g(1/2杯強) | 187 |
牛レバー | 80g | 176 |
カツオ | 80g(刺身5切れ) | 169 |
サンマ | 100g(1尾150g) | 155 |
大正エビ | 50g(2尾) | 137 |
ズワイガニ | 100g | 136 |
マグロ | 80g | 126 |
鶏ササミ | 80g | 123 |
真アジ | 70g(1尾150g) | 116 |
鶏ムネ | 80g | 113 |
なぜ尿酸によって痛みを生じるのか?
通常、尿酸は私たちの身体では必要のない老廃物であるため、尿中から排泄されます。
しかし、上記のように過剰に摂取する状態が続いたり、十分量の尿酸を排泄できなくなると、血液中の尿酸が増加してしまいます。
ある程度の尿酸は血液中に溶けて存在しますが、濃度が濃くなると結晶が析出します。
この結晶が尿酸の針状結晶と呼ばれるもので、関節に沈着することで痛風発作を引き起こすのです。
フェブリク[フェブキソスタット]:痛風・高尿酸血症治療薬
痛風の原因は、血中の尿酸量が高くなってしまったこと=高尿酸血症によります。
その結果、尿酸が関節に溜まり、針状の結晶として析出し、炎症を引き起こすのです。
痛風・高尿酸血症の根本の治療では、次の2種類に分類されます。
- 尿酸を作らないようにする尿酸生成抑制薬
- 尿酸を外に出す尿酸排泄促進薬
尿酸は、プリン体を含む食品や、肝臓で合成されたプリン体より合成されます。
尿酸は、体内での合成量が8割程度ですが、2割程度が食品由来と言われています。
食品由来のプリン体も無視できないため、痛風対策でプリン体カットのビールが多く発売されているのです。
フェブリクは、尿酸の生合成を抑制する痛風の治療薬として使用されます。
フェブリクの作用機序は、尿酸生合成の経路で必要な酵素=キサンチンオキシダーゼに対して作用します。
キサンチンオキシダーゼの作用を阻害することで、プリン体から尿酸生成を阻害するのです。
やっくん
フェブリク[フェブキソスタット]は、キサンチンオキシダーゼを阻害することで、尿酸の生合成を阻害します。
フェブリクとザイロリックの違い:プリン骨格と排泄経路
フェブリク、ザイロリックはともにキサンチンオキシダーゼを阻害することで尿酸の生合成を抑制します。
そのため、効果に大きな違いはありませんが、ラットに対する試験ではフェブリクの方が効果的といったデータが出ています。
2つの大きな違いは副作用と代謝・排泄方法です。
ザイロリックは、有効成分のアロプリノールがプリン骨格を持っていることから、プリン体の代謝に影響を与える副作用が生じていました。
やっくん
フェブリクの最大の特徴は、プリン骨格を持っていないという点です。
プリン骨格を持っていないため、ザイロリックで生じていた血液関連の副作用が軽減されています。
また、ザイロリックは腎排泄型の薬のため、腎機能によって調節が必要でしたが、フェブリクは胆汁排泄型のため腎機能・肝機能に左右されることなく使用することができます。
フェブリク[フェブキソスタット]の臓器保護作用:腎保護作用
フェブリク[フェブキソスタット]は、尿酸値を改善するだけではなく、腎保護作用などの臓器保護作用があることが示唆されています。
そのため、痛風発作は起きてませんが尿酸値が高い患者に対してもフェブリク[フェブキソスタット]を積極的に使用する先生が多い印象です。
フェブリク[フェブキソスタット]の副作用
フェブリク[フェブキソスタット]は、痛風、高尿酸血症の治療薬として、2011年に発売された新しい薬です。
主な副作用としては、関節痛[1.2%]、四肢不快感[0.9%]、四肢痛[0.9%]、下痢[0.8%]、倦怠感[0.5%]が挙げられます。
主な臨床検査値の異常としては、肝機能検査値異常[3.5%]、TSH増加[0.9%]、尿中β2ミクログロブリン増加[0.8%]、CK(CPK)増加[0.5%]などが報告されています。
フェブリク[フェブキソスタット]の禁忌
- ロイケリン[メルカプトプリン]
- イムラン、アザニン[アザチオプリン][いずれも血中濃度が上がる可能性があります。]