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アジレクト[ラサギリン]の作用機序:エフピーとの違いは?

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パーキンソン病薬イラスト

パーキンソン病の治療薬として使用されるMAO阻害薬のひとつがアジレクト[ラサギリン]です。

このページでは、アジレクト[ラサギリン]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。

アジレクト[ラサギリン]:パーキンソン病治療薬

アジレクト[ラサギリン]は、パーキンソン病の方の治療薬として使用されている薬です。

私たちが普段何気なく取る行動、立ち上がる、歩く、走る、食べる、これらの行動はすべて脳から無意識の指令が出ています。

その無意識の指令に欠かせないものが「ドパミン」と呼ばれる物質です。

正常ドパミン

中でも重要なのが、脳内の「黒質」と呼ばれる部位で作られるドパミンです。

黒質で作られたドパミンは、「軸索」と呼ばれる長ーい突起を通って「線条体」で放出されます。

放出されたドパミンがドパミンの受容体にくっつくことで、歩くや走るといった身体の運動に関わる指令を伝えるのです。

この指令を伝えることから、ドパミンは神経伝達物質と呼ばれています。

ドパミン量が減ってしまう病気がパーキンソン病です。

パーキンソンドパミン

パーキンソン病とは

パーキンソン病とは、黒質から軸索、線条体の間に異常が生じ、ドパミンが脳内でうまく作られなくなった病気です。

アジレクト[ラサギリン]の作用機序

パーキンソン病とは、脳内のドパミン[DA]量が減っていることで生じる病気です。

脳内のドパミンは、情報の伝達が終わった後は、もう一度脳の中に取り込まれます。

ドパミン分解

しかし、MAOB[モノアミン酸化酵素]という酵素が存在すると、ドパミンは分解されてしまいます。

MAOにはA型とB型があり、脳内はB型のMAOが85%を占めています。

MEMO

脳内のドパミンの分解を防ぐために、パーキンソン病の治療に使用される薬がアジレクトです。

やっくん

アジレクト[ラサギリン]は、MAOBを阻害することによって、ドパミンの再利用を促し、ドパミン量を増やす薬です。

アジレクト[ラサギリン]とエフピー[セレギリン]の違いは?

アジレクトとエフピーの違いで注目すべき点は構造の違い代謝酵素の違いの2つです。

アジレクトはアンフェタミン構造を持たない

アジレクトの有効成分であるラサギリンは、アンフェタミン骨格構造を持っていません。

そのため、劇薬の指定はありますが、覚せい剤原料の指定がないため、薬局内での管理がしやすい点が特徴となります。

一方で、エフピーの有効成分であるセレギリンは、アンフェタミン骨格を持っているため、覚せい剤原料に指定されています。


パーキンソン病薬イラスト

エフピー[セレギリン]作用機序、特徴、副作用

さらに、アンフェタミン構造による不眠症・心臓障害・神経障害の副作用が現れにくくなることが期待されています。

アジレクトはCYP1A2により代謝される

アジレクト[ラサギリン]は、主にCYP1A2によって代謝されます。

エフピー[セレギリン]は、主にCYP2D6、CYP3A4によって代謝されます。

代謝酵素が異なるため、併用注意の薬剤が異なります。

また、CYP1A2を誘導するタバコ=喫煙についても注意しなければなりません。

アジレクト[ラサギリン]の副作用

アジレクト[ラサギリン]は、パーキンソン病の治療薬として、2018年に承認を受けた薬です。

注意

代表的な副作用としては、ジスキネジア[8.0%]、転倒[3.7%]及び鼻咽頭炎[3.2%]などが挙げられます。

ジスキネジアとは、ドパミンの作用強すぎて起こる不随意運動で、口・舌・顔面・ 手足・体幹にみられます。

副作用や効果の関係から、1日1回1mgを投与すると決められています。

アジレクト[ラサギリン]の禁忌

  • 他のMAO阻害薬[エフピー:セレギリン塩酸塩]
  • ペチロルファン[ペチジン塩酸塩含有製剤]、トラマール・トラムセット[トラマドール塩酸塩]、タペンタ[タペンタドール塩酸塩]
  • 三環系抗うつ薬
    トリプタノール[アミトリプチリン塩酸塩]
    アモキサン[アモキサピン]
    トフラニール[イミプラミン塩酸塩]
    アナフラニール[クロミプラミン塩酸塩]
    プロチアデン[ドスレピン塩酸塩]
    スルモンチール[トリミプラミンマレイン酸塩]
    ノリトレン[ノルトリプチリン塩酸塩]
    アンプリット[ロフェプラミン塩酸塩]
  • 四環系抗うつ薬
    ルジオミール[マプロチリン塩酸塩]
    テトラミド[ミアンセリン塩酸塩]
    テシプール[セチプチリンマレイン酸塩]
  • 選択的セロトニン再取り込み阻害薬
    ルボックス・デプロメール[フルボキサミンマレイン酸塩]
    パキシル[パロキセチン塩酸塩水和物]
    ジェイゾロフト[塩酸セルトラリン]
    レクサプロ[エスシタロプラムシュウ酸塩]
  • セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
    トレドミン[ミルナシプラン塩酸塩]
    サインバルタ[デュロキセチン塩酸塩]
    イフェクサー[ベンラファキシン塩酸塩]
  • 選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
    ストラテラ[アトモキセチン塩酸塩]
  • ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬
    リフレックス・レメロン[ミルタザピン]
  • 中等度以上の肝機能障害[Child-Pugh分類B又はC]

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