2020年診療報酬改定において、社会保障審議会がまとめた診療報酬改定の基本方針(案)が2019年11月に発表されました。薬剤師に関連する部分をまとめています。
2020年度診療報酬改定に向けた診療報酬改定の基本方針(案)について
2020年度診療報酬改定について様々な噂が飛びかっていて、私たち薬局薬剤師は不安な日々をお過ごしかと思います。
診療報酬改定においては、「どれくらいのお金が診療報酬に配分されるか=予算」と「配分されたお金をどのように使うか=診療報酬の方向性」が重要となります。
今回は、後者の診療報酬の方向性に最も関わる、“診療報酬改定の基本方針(案)”について、調剤薬局薬剤師に関する項目をまとめてみました。
2020年度診療報酬改定の基本方針(案)の概要
2020年度診療報酬改定の基本方針(案)では、今後の医療制度の在り方として、大きく4つの方向性を示しています。
以下、2019年11月に行われた社会保障審議会医療保険部会資料の抜粋です。
1. 医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進
【具体的方向性の例】
- 医師等の長時間労働などの厳しい勤務環境を改善する取組の評価
- 地域医療の確保を図る観点から早急に対応が必要な救急医療体制等の評価
- 業務の効率化に資するICTの利活用の推進
2. 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
【具体的方向性の例】
- かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価
- 患者にとって必要な情報提供、相談支援等の評価
- アウトカムにも着目した評価の推進
- 重点的な対応が求められる分野について、国民の安心・安全を確保する観点からの適切な評価
- 口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進
- 薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、対物業務から対人業務への構造的な転換を推進するための所要の評価の重点化と適正化、院内薬剤師業務の評価
- 医療におけるICTの利活用
3. 医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進
【具体的方向性の例】
- 医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価
- 外来医療の機能分化
- 質の高い在宅医療・訪問看護の確保
- 地域包括ケアシステムの推進のための取組
4. 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上
【具体的方向性の例】
- 後発医薬品やバイオ後続品の使用促進
- 費用対効果評価制度の活用
- 市場実勢価格を踏まえた適正な評価等
- 医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価
- 外来医療の機能分化、重症化予防の取組の推進
- 医師・院内薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用の推進
2020年度診療報酬改定の基本方針(案)で調剤薬局関連の項目
2020年度診療報酬改定の基本方針(案)において、あくまでも私の視点で調剤薬局に関連すると思った項目についてまとめています。
2.患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、対物業務から対人業務への構造的な転換を推進するための所要の評価の重点化と適正化、院内薬剤師業務の評価
→ずっと言われている対物業務から対人業務への切り替え、基本料が削られより時間を掛けた服薬指導等が評価される仕組みになると予想されます。
4. 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上
後発医薬品やバイオ後続品の使用促進
→費用対効果の面からも、薬価の高い医薬品と薬価の安い医薬品について何らかの差を設ける形になっていくかもしれません。
医師・院内薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用の推進
→薬剤師会も推奨しているように、医師と薬局薬剤師の連携、および病院薬剤師との薬薬連携に今後インセンティブが働くのではないでしょうか?