教室内の空気検査は年2回行うことが定められています。
夏場はエアコン、冬場は暖房器具の影響を受けやすいため、それぞれで測定項目が異なります。
夏の空気検査時では、二酸化炭素の測定方法、アスマン通風乾湿計の使い方、ホルアルチェッカーの使い方などそれぞれ測定器が必要となります。
今回は、冬の空気検査時に必要な測定器の使い方、および、換気等の対策についてまとめてみました。
冬の教室内空気検査における基準値と対策
冬場の空気検査は夏場よりも測定項目・回数が多く設定されています。
二酸化炭素濃度
授業開始時から授業終了時の15分ごとに4回測定します。
基準値:1,500ppm以下
乾球温度
授業開始時から授業終了時の15分ごとに4回測定します。
基準値:10-30℃[18-20℃が望ましい]
相対湿度
授業開始時から授業終了時の15分ごとに4回測定します。
基準値:30-80%[50-60%が望ましい]
浮遊粉じん【大規模校のみ】
浮遊粉じんとは、タバコの煙やチョークの粉、土などが該当します。
隙間風が入ってくる冬場により注意が必要な項目です。
京都市では大規模校のみ冬に測定する項目です。
基準値:0.1mg/㎥以下
基準値を著しく下回るとき[=0.05mg/㎥以下]は、次回からの検査を省略することができます。
気流 【大規模校のみ】
冷暖房時使用に伴う気流や冬場の隙間風などによって不快感を感じないように保つ項目です。
基準値:0.5m/秒以下が望ましい
一酸化炭素【燃焼系暖房器具を使用する場合】
燃焼器具による暖房や給湯器具を使う教室等で測定する項目です。
基準値:10ppm(0.001%)以下
二酸化窒素【燃焼系暖房器具を使用する場合】
石油ストーブや石油ファンヒーターなどの燃焼器具によって発生します。
基準値:0.06ppm以下が望ましい
換気による対策
空気検査の基準値を上回った場合の対策の基本は換気です。
両側の窓を開ける回数を増やすことや、換気扇の常時稼働、換気扇の清掃が有効です。
呼吸量によって二酸化炭素濃度が上昇することから、小学校よりは中学校、中学校よりは高校の方が必要な換気回数が増えるので注意が必要です。
幼稚園、小学校低学年 | 小学校高学年、中学校 | 高校 | |
換気回数 | 1.9回/時間 | 2.8回/時間 | 3.9回/時間 |
冬の教室内空気検査における測定器・検査器の使い方
京都市における冬の教室内空気検査で使用する測定器・検査器の使い方を紹介します。
北川式ガス採取器AP-20:二酸化炭素の測定
[写真は日本薬剤師会資料より一部引用]
- 検知管の両端を折ります。
- 検知管を矢印の方向に沿って差し込みます。
- 持ち手を100の値まで引っ張り、3-5分待ちます。
このとき二酸化炭素の濃度が高いと、検知管の値が読み取れないケースがあります。
その際は、50の値まで引っ張り50の空気中に含まれる二酸化炭素の量を読み取り、2倍した値を測定値とします。 - 検知管の色が黄色-橙色に変わるので、その値を読み取ります。
この場合は700ppmを境に赤と橙に分かれるので700ppmと読み取ります。
アスマン通風乾湿計:相対湿度の測定
[写真は日本薬剤師会資料より一部引用]
- 湿球温度計のカバーを外し湿球ガーゼを湿らせます。
- 給水ボトルが付いているタイプでは、ガーゼが部分をボトルの中に入れ乾かないように水を注入します。
- 5-10分後に乾球温度、湿球温度の数値を読み取ります。
- 湿度計算尺を使い相対湿度を求めます。
相対湿度の読み方ですが、例えば写真の場合は、乾球温度25℃、湿球温度22℃、相対湿度70%となります。
北川式ガス採取器AP-20:一酸化炭素の測定
[写真は日本薬剤師会資料より一部引用]
基本的には二酸化炭素の測定方法と同じです。検知管のみ一酸化炭素用のものを用います。
- 検知管の両端を折ります。
- 検知管を矢印の方向に沿って差し込みます。
- 持ち手を100の値まで引っ張り、3-5分待ちます。
このとき一酸化炭素の濃度が高いと、検知管の値が読み取れないケースがあります。
その際は、50の値まで引っ張り50の空気中に含まれる一酸化炭素の量を読み取り、2倍した値を測定値とします。 - 検知管の色が黄色-橙色に変わるので、その値を読み取ります。
ホルムアルデヒド検知器FP-30:二酸化窒素の測定
京都市では、ホルムアルデヒド検知器FP-30を使用して二酸化窒素濃度を測定します。
基本的にはホルムアルデヒドの測定方法と同じです。検査TABのみ二酸化窒素用のものを用います。
- 測定器の電源を入れます。
- 画面に沿って進み、検査TABを測定器にセットします。
- 画面で二酸化窒素TABを選び、30分間の測定を行います。