学校では、毎年1回飲料水の水質検査を行わなければなりません。
京都市では、水質検査の日が指定されており、学校薬剤師がその業務を行います。
今回は、飲料水の水質検査の方法、および、基準値についてまとめました。
飲料水の水質管理:現場記載事項
飲料水の水質検査では、現場で測定する”現場記載事項”と、検査機関に委託してその結果を記載する”検査室記載事項”の2項目があります。
現場で測定する項目としては、次の4項目です。
- 水温
- 濁り、沈査、色
- 異常な臭気・味
- 遊離残留塩素濃度
1.水温
水温に基準値はありません。
2.濁り、沈査、色
50-100mLビーカーを使用すると状態が確認しやすくなります。
特に変わったことがなければ異常なしと記載します。
3.異常な臭気・味
飲料水を口に含みます。
特に変わったことがなければ異常なしと記載します。
4.遊離残留塩素濃度
遊離残留塩素濃度の基準値は、0.1mg/L~1.0mg/Lです。
古い学校では、受水槽・高置水槽を通過した水であるため、塩素濃度が0.1mg/Lを下回るケースが散見されます。
最近では、本管直結によるウォータークーラーを使用している学校がほとんどであるため、飲用の際はウォータークーラーから飲んでもらうよう指導します。
飲料水の水質管理:検査室記載事項
検査機関に委託して測定する項目は次の7項目です。
- pH
- 色度
- 濁度
- 塩化物イオン
- 全有機炭素[TOC]
- 大腸菌
- 一般細菌
飲料水の採水方法
採水前に微生物の混入を防ぐためしっかりと手を洗います。
採水する飲料水は、配管中の古い水を出し切るために最低でも5-10分ほど放水します。可能であれば30分ほど放水すると良いでしょう!
3つの検査容器に飲料水を入れて検査機関へ提出します。
①ポリボトル500mL[理化学試験用]
- 採水する飲料水で共洗いします。
- 肩口まで満たし提出します。
②滅菌ハイポ入り容器200mL[大腸菌、一般細菌用]
- 滅菌状態のため、共洗いはせず容器を清潔に保ちます。
- 蛇口をライターであぶり殺菌します。
- 落下菌が入らないように容器を斜めに傾け、8分目まで飲料水を満たします。
- 5℃以下で保存し、検査センターへ提出します。
③ガラス容器100mL[全有機炭素[TOC]用]
- 採水する飲料水で共洗いします。
- 肩口まで満たし提出します。
このときアルコール消毒液を使うとTOCが高くなるので注意が必要です。
1.pH
pHの基準値は、5.8以上8.6以下となります。
2.色度
色度の基準値は5度以下となります。
3.濁度
濁度の基準値は2度以下となります。
4.塩化物イオン
塩化物イオンの基準値は200mg/L以下となります。
5.全有機炭素[TOC]
全有機炭素[TOC]の量は、3mg/L以下であることと定められています。
6.大腸菌
大腸菌は検出されないこととされています。
7.一般細菌
一般細菌は、1mL中100コロニー以下であることと定められています。